レ・ミゼラブル 原作の翻訳比較

フランスの文豪ヴィクトル・ユゴーの長編小説『レ・ミゼラブル』は、映画、ドラマ、ミュージカルなどこれを元にした作品が数多く作られており、また縮訳や児童文学版も多数存在する。

原作『レ・ミゼラブル』日本語訳

多数存在する『レ・ミゼラブル』日本語訳の中から、手元にある完訳文庫版を紹介。

豊島与志雄 訳
『レ・ミゼラブル』全4巻(岩波文庫)

レ・ミゼラブル〈1〉 (岩波文庫)

大正初期の翻訳に手を入れた改訳版で、やや言葉遣いは難しいが、古典文学らしい趣きが美しい。原書の挿絵も収載。巻頭の目次が詳細。著作権は切れており、青空文庫にもなっている。個人的には一番お気に入りの訳。

豊島 与志雄(とよしま よしお)1890-1955 仏文学者、小説家

佐藤朔 訳
『レ・ミゼラブル』全5巻(新潮文庫)

レ・ミゼラブル (1) (新潮文庫)

1960年代?の訳。岩波文庫に比べると平易な日本語で、話が理解しやすい。巻頭の目次はない。5巻末に訳者の解説あり。

佐藤 朔(さとう さく)1905-1996 仏文学者・専門はボードレール研究

辻昶 訳
『レ・ミゼラブル』全5巻(講談社文庫)

レ・ミゼラブル 1巻(講談社文庫)

『世界文学全集』(講談社)からの文庫化。平易な言葉遣いで、新潮文庫に比べると文体が柔らかい。訳注が多く、理解の助けになる。巻頭の目次は部・編まで。1巻末に訳者の解説、5巻末にユゴー年譜が付属。絶版で、古本でしか入手できないのが難。(単行本では『ヴィクトル・ユゴー文学館』(潮出版社)に収録)

辻 昶(つじ とおる)1916-2000 仏文学者・専門はユゴー研究

石川湧 訳
『レ・ミゼラブル』全4巻(角川文庫)

レ・ミゼラブル 1巻(角川文庫)

2巻しか持っていないため詳細不明。平易な言葉遣いだが、台詞の言い回しはかなり時代がかっている印象。こちらも絶版のようで、古本でしか入手できない。

石川 湧(いしかわ ゆう)1906-1976 仏文学者

西永良成 訳
『レ・ミゼラブル』全5巻(ちくま文庫)

レ・ミゼラブル1 (ちくま文庫)

2012年より刊行されている新訳。2013年2月現在は4巻まで出ている。→2014年2月に5巻が刊行され、完結。地の文は癖のない文体で読みやすいが、台詞を現代風にしようとしてやや中途半端になっている印象も。訳注が詳細で、背景がわかりやすい。巻頭の目次は部・篇まで。各巻末に「訳者ノート」。

西永 良成(にしなが よしなり)1944- 仏文学者

『レ・ミゼラブル』日本語訳の比較