フランス パリ・モガドール盤

レ・ミゼラブル パリ・モガドール盤(フランス)

1991年、パリ・モガドール盤。モガドールは上演された劇場の名前。パリ・リバイバル・キャストという表記の場合もあり、オリジナル・フレンチ・コンセプト・アルバムと区別しての名称か。

これはOLC盤の次に、やはり実際の舞台を見る前に聴いたCD。レ・ミゼラブルの舞台であるフランスということで、雰囲気は完璧。言語的な特質もあるのかもしれないが、オペラ風の朗々とした歌い方の人は少なく、ざらりとしたリアルな感じで好みである。CSRと並んで最もよく聴いている、お気に入りCD。指揮は10周年記念コンサートでもお馴染みのDavid Charles Abell(この人はアメリカ人)。

このCDは廃盤だったが、2004年に復刻再発売された。復刻版はデジパック仕様で、歌詞ブックレットが付属しているが、全部大文字な上にアクサンが省かれていて読みづらい。→どうやら現在CDは再び廃盤のようだが、デジタル版がiTunes Storeで販売されている。

キャスト

JEAN VALJEAN :Robert Marien (JEAN VALJEAN)Robert Marien
JAVERT :Patrick Rocca (JAVERT)Patrick Rocca
FANTINE :Louise Pitre (FANTINE)Louise Pitre
MARIUS :Jérôme Pradon (MARIUS)Jérôme Pradon
COSETTE :Marie Zamora (COSETTE)Marie Zamora
ÉPONINE :Stéphanie Martin (ÉPONINE)Stéphanie Martin
THÉNARDIER :Laurent Gendron (THÉNARDIER)Laurent Gendron
M.THÉNARDIER :Marie-France Roussel (M.THÉNARDIER)Marie-France Roussel
ENJOLRAS :Julien Combey (ENJOLRAS)Julien Combey
GAVROCHE :Alexis Tomassian (GAVROCHE)Alexis Tomassian
L.COSETTE :Aurelie Lebarbe (L.COSETTE)Aurelie Lebarbe
演奏(指揮: David Charles Abell)

は個人的なお気に入り度

キャスト雑感

ジャン・バルジャン: Robert Marien(ロベール・マリアン)

朗々と歌うというよりは、語りかけ系。低音がとても魅力的でありつつ、 "Comme un homme" ("Bring him home") の高音も美しい。

ジャベール: Patrick Rocca(パトリック・ロッカ)

限りなくまじめそう。ノーブルな渋い声。この路線では非常に格好良いが、ちょっと余裕がなさそう(演技にという意味でなく、ジャベールがということ)で、職務に一生懸命で必死! って感じのジャベールで、威厳には少々欠ける。 "Le suicide de Javert" ("Javert's Suicide") はとても切ないが、妙に最後が淡々としていて完全に泣けない(?)のが残念。

ファンティーヌ: Louise Pitre(ルイーズ・ピトル)

ふつう。最初はいまいちだが、死に際は素敵。

マリウス: Jérôme Pradon(ジェローム・プラドン)

ポップというかロックというか、非声楽的な声。対して歌い方は、これでもかという天然坊ちゃん度。実は、第一印象ではこんなハスキーなマリウスは嫌だと思って(マイケル・ボールの声が基準だったため)いたのだが、原作を読んでマリウスというキャラクタに対する見方が変わるにつれ、このヘタレ感と鼻にかかった歌い方が可愛く思えてきて、さらに他の作品でJérômeにハマり、とうとうツボに。何といっても、特にマリウスにはフランス語がよく似合う。 "Seul devant ces tables vides" ("Empty chairs at empty tables") では、繊細な表現を駆使しつつもなお天然キャラを維持しているのが素晴らしい。素晴らしいが、後のJérômeに比べれば、技術面ではやや甘い気がする。

コゼット: Marie Zamora(マリー・ザモラ)

結構声が低め。やや大人っぽい。歌い方にはメリハリがあるが、声質が気怠い感じで、美しいけれど冷淡に聞こえるところも。結構好きなんだけど、コゼットのイメージとはちょっと違う。

エポニーヌ: Stéphanie Martin(ステファニー・マルタン)

格好良い系というか、こちらもわりと大人っぽい。"Mon Histoire" ("On My Own") は、切ないを通り越して絶望すら感じる。

テナルディエ: Laurent Gendron(ローラン・ジャンドロン)

メリハリがあって格好良い。ただ元々はわりと品がある感じの青年っぽい声のようなのと、ちょっと明る過ぎてテナルディエとしてはあまり好みでない。

テナルディエの妻: Marie-France Roussel(マリー=フランス・ルーセル)

ほどよい深みと勢いがあってナチュラル。良い感じ。

アンジョルラス: Julien Combey(ジュリアン・コンベー)

やたらハスキーに聞こえるのは言語的な特質もあるのかもしれないが、普通っぽく、いまいちカリスマに欠ける。

ガブローシュ: Alexis Tomassian(アレクシ・トマシアン)

かなり格好良い。

リトル・コゼット: Aurelie Lebarbe(オーレリー・ルバルブ)

とても普通。しかし、フランス語で歌う子役ということだけでも感動。

曲目:

DISC 1:

  1. Ouverture
  2. Le bagne: Pitié, pitié
  3. L'Evêque de Digne
  4. Pourquoi ai-je permis à cet homme?
  5. Quand un jour est passé
  6. J'avais rêvé
  7. Tu viens Chéri!
  8. Le Procès: comment faire?
  9. La mort de Fantine
  10. La confrontation
  11. Une poupée dans la vitrine
  12. Maître Thénardier
  13. La transaction
  14. Bonjour Paris
  15. Sous les Etoiles
  16. Le café: les amis de l'ABC
  17. Rouge la flamme de la colère
  18. A la volonté du peuple

DISC 2:

  1. Rue Plumet: dans ma vie
  2. Le coeur au bonheur
  3. Le casse de la rue Plumet
  4. Le grand jour
  5. La première barricade
  6. Mon histoire
  7. Sur la barricade
  8. Je sais ce qui se trame
  9. C'est la faute à
  10. La première attaque
  11. Un peu de sang qui pleure
  12. Souviens-toi des jours passés
  13. Comme un homme
  14. Fureurs cannibales
  15. Le suicide de Javert
  16. Tourne, tourne
  17. Seul devant ces tables vides
  18. Sonnez, sonnez
  19. Mendiants à la fête
  20. Final: c'est pour demain