レ・ミゼラブルの言葉たち(一)

 読み進めながら好きな言葉に付箋を貼っていたら、思いのほか多くなってきたので、メモ。

「決して盗賊や殺人者をも恐れてはいけない。それらは外部の危険で小さなものである。われわれはわれわれ自身を恐れなければならない。偏見は盗賊である。悪徳は殺人者である。大きな危険はわれわれの内部にある」

— ミリエル司教

「あなたは私が何という名前か知っていられたのですか。」
「そうです。」と司教は答えた。「あなたの名前は私の兄弟というのです。」

— ミリエル司教、ジャン・ヴァルジャンに

「が第一に、あの銀の食器は私どもの物だったのかね。
(中略)
 私は誤って長い間あの銀の器を私していた。あれは貧しい人たちのものなんだ。ところであの男は何であったろう。明らかに一人の貧しい人だったではないか。」

— ミリエル司教、銀の器が盗まれたと告げに来た召使のマグロアールに

「いい市長さんがあるのは大事なことです。人間は自分のできるよいことをしないでいいものでしょうか。」

— ある婦人、市長の任命を辞退しようとしたマドレーヌ氏に

「最高の法は良心です」

— マドレーヌ市長、法を犯したファンティーヌを逮捕しようとするジャヴェルに

「徒刑場は囚人を作るものです。少しくこの点を考えていただきたい。徒刑場にはいる前、私は知力の乏しい一個のあわれな田舎者でした、一種の白痴でした。しかるに徒刑場は私を一変さしてしまった。愚鈍であった私は、悪人となった。一個の木偶にすぎなかった私は、危険な人物となった」

— マドレーヌ市長、アラスの法廷で

 彼はコゼットを保護するとともに、コゼットは彼を強固にした。彼によって、彼女は人生のうちに進むことができた。そして彼女によって、彼は徳の道を続けることができた。彼は少女の柱であった、そして少女は彼の杖であった。

— ジャン・ヴァルジャンと幼いコゼット

「私を引き出すため車の下にはいり込むのにマドレーヌ氏は種々考えてみはしなかったんだ。」彼はマドレーヌ氏を助けようと決心した。

 それでもなお彼は、いろいろと自問自答した。「私にあれだけのことをしてくれたが、もし盗人だったとしても助けるべきものだろうか? やはり同じことだ。聖者だからというので助けるべきだろうか? やはり同じことだ。」

— フォーシュルヴァン爺さん

「僕は酒が飲みたい。僕は人生を忘れたい。人生とはだれかが考え出したいやな発明品だ。」

— グランテール

 引用はすべてユーゴー、豊島与志雄訳『レ・ミゼラブル』(岩波文庫)より。
 付箋ページはまだまだあります……次回に続く?