アンソニー・ウォーロウ Anthony Warlow
レ・ミゼラブルCSRのアンジョルラスを聴いて(正確にはそれをきっかけに、ソロアルバムの"Stars"を聴いて)にわかファンになった Anthony Warlow のCD&DVD感想と紹介のページです。
Anthony Warlow
オーストラリアのミュージカルスター。オペラ歌手でもある。オペラ歌手としてデビューし、ミュージカル分野では『ガイズ&ドールズ』『レ・ミゼラブル』『オペラ座の怪人』『マイ・フェア・レディ』『シークレット・ガーデン』『アニー』『ラ・マンチャの男』などで活躍。レミゼサイトで見かけた「七色の声」というのは当に相応しいと思います。詳しくは「もう少し詳しい紹介」にて。
ソロアルバム
キャスト出演アルバム
DVD & Video
CENTRE STAGE - Anthony Warlow - 1990
ミュージカルナンバーがたくさんのファーストアルバム。素晴らしい。流石に若々しいが、しかし若くない曲はちゃんと若くないところがまた凄い。ファントムの歌が聴ける貴重なCDでもあり、レミゼファンとしては "Bring Him Home" が嬉しい。その他にもいろいろなタイプの曲が聴けて飽きない。ちなみに写真が超若くて麗しい。
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- Music Of The Night - Phantom Of The Opera
アンソニーは世界最年少のファントムだったそう。私が聴いたオリジナル・ロンドン・キャスト版とは歌詞が少し違う。この曲単独で言えば、後に聴いた THE MAIN EVENT 収録のコンサートライブ版の方がより好きだが、こちらも非常に素晴らしく、最初の一フレーズから世界に引き込まれる。 "I have brought you..." のところから入っているのが嬉しい。じっくり聴けば聴くほど好きな一曲で、ミュージカルナンバーの醍醐味を味わえる。これをいきなり一曲目で聴かせてしまうこのアルバムの構成もすごい。
- Easy To Love - Anything Goes
- Luck Be A Lady - Guys And Dolls
- Somewhere - West Side Story
- This Nearly Was Mine - South Pacific
- I Am What I Am - La Cage Aux Folles
作品をよく知らないのだが、トランスジェンダーのキャラクターの歌らしい。これを聴いて驚いたのは、まさに「老若男女」何でもこなせる七色の声。曲調はアップテンポで、とても強い感じ、内容も一見前向き(?)だけれども、どこかもの悲しい曲という気が。
- Anthem - Chess
- Bring Him Home - Les Miserables
やはり、レミゼ男性ソロの代表曲なのだろう。素晴らしい。バルジャンと思えば少々若々しい気はするが、それにしてもちゃんとバルジャンの声になっていて、とても20代とは思えない。どちらかというと、神に毅然と向き合う印象。 "If I die, let me die" が挑戦的な響き。敬虔さがないわけではないが。続く "Let him live" はもの凄く優しくて、慈愛を感じる。ちなみに原曲キー(他のソロアルバムを聴くと、キー下げてる人が多かったので)。最後の高音も、良い意味で非オペラティックに、とても柔らかくきめている。
- You're Nothing Without Me - City Of Angels
ジャズっぽくかつ面白い曲、作品知識が全くないもので、ブックレット(一枚紙だけど)にちょっとだけ説明があるものの、どういう場面なのか謎。一人二役のセルフ・デュエット(ハモってるし、本来は二人で歌う曲なの?)で、その演じ分けが面白い。つくづく器用な人。
- The Impossible Dream - The Man Of La Mancha
個人的に、昔からとても好きな音楽で嬉しい。これまた、それらしい声に変貌しているのがすごい。もちろん歌は朗々として素晴らしいの一言。アンソニーは実際に舞台でラ・マンチャの男を演じていたそうだが、それはこの録音よりずっと後のこと。
- Johanna - Sweeney Todd
- The Colours Of My Life - Barnum
- Soliloquy - Carousel
ON THE BOARDS - Anthony Warlow - 1992
ミュージカル&オペラナンバー。最初に聴いたソロアルバム。レミゼCSRで聴いたアンジョルラスの雄々しい美声に、ジャベールファンとしてはきっとこの人が "Stars" を歌ったら素晴らしいに違いない、と思ったのがはじまり。朗々たる美声と変幻自在な表現力がとにかく素晴らしい。壮大な曲、落ち着いたもの、コミカルな曲まで色々楽しめてとてもお気に入り。しかし、これを聴いた時はまさかあんなに可愛らしい(?)人だとは思わず。笑
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- Nothing Can Stop Me Now - Roar Of The Greasepaint - The Smell Of The Crowd
- Fate - Kismet
- If Ever I Would Leave You - Camlot
- Manhattan - The Garrick Gaieties
- Love Changes Everything - Aspects Of Love
この曲とても好き。作品を知らないので、似合っているのかどうかはわからないが、聴き応えあり。素敵。
- I Am A Pirate King - Pirates Of Penzance
喜劇曲。何だかすごいインパクトで、どういうシチュエーションの曲かは不明だが、一目惚れならぬ一聴惚れ! とりあえずある意味格好良いというか、可愛いというか、面白い。この感想だけでは意味不明だが、そんな一曲。
- I Won't Send Roses - Mack And Mabel
- Being Alive - Company
- Stand Up And Fight - Carmen Jones
ビゼーの「カルメン」を現代版にアレンジしたミュージカルの曲らしいが、旋律は普通に原曲どおり。そこは流石オペラ歌手、一聴惚れ曲その二。実はこのアルバム中でも一、二を争うお気に入り。
- Stars - Les Misérables
レミゼ(&ジャベール)ファン的に本命のStars! 期待を裏切らない理想的な一曲。思いっきりジャベールになっている。歌い方は同じオーストラリアキャストである、かのフィリップ・クワストのジャベールにやや似ている。やはり影響されたのだろうか? というか、こうしてみると声質が若干似ているようだ。とても格好いい。Sの発音が好き。個人的には、彼はアンジョルラスもいいけれど断然ジャベール向きかと思い。でもマリウスもテナルディエも、勿論バルジャンも出来そう。しかしながらこのCDの時はかなり若いので(29〜30歳? それでこの渋さは衝撃)、今ならもっと凄いStarsになるのでは、と思ったり。ジャベールやらないかなあー!
- You Mustn't Kick It Around - Pal Joey
- Hello Little Girl - Into The Woods
これも初めて聞く、狼と赤ずきんちゃんのような曲。個人的に二番目におかしい(おもしろい)というか怪しい曲。公式サイトで試聴できますが、なぜこれなの?笑
- Bui-Doi - Miss Saigon
これも名曲系で好き。ミス・サイゴンは粗筋しか知らないので詳しくは何とも言えないが、単純に音楽としては、オリジナル・キャスト盤よりも好み。
- Were Thine That Special Face - Kiss Me,Kate
- On The Boards - Can Hieronymus Merkin Ever Forget Mercy Humppe And Find True Happiness
BACK IN THE SWING - Anthony Warlow - 1993
ジャズ系のアルバム。個人的に疎いジャンルなので曲目自体に興味があったわけではないが、 "Autumn Leaves" が聴きたかった。こうした音楽が好きな人たちは無論、初めて聴く人にも楽しんで欲しいという旨のメッセージが素敵。エキサイトして聴くタイプの曲ではないけれど、彼の声のヒーリング効果と相まって和む。 "Night And Day" とかも好き。
購入店: [Amazon.co.jp] 参考: [HMV.au.com]
- Desert Song (Blue Heaven)
- You Do Something To Me
- Don't Get Around Much Anymore
- Skylark
- Autumn Leaves
- Almost Like Being in Love/This Can't Be Love
- Smile
- Night And Day
- Moonglow/Picnic
- Stardust
- I've Got a Crush On You
- L.O.V.E.
- Laura
- Orange Coloured Sky
- Without A Song
- All The Things You Are
- She Was Beautiful / Cavatina
- That's All
- What Are You Doing For The Rest Of Your Life?
- Anyone Can Whistle
- Who Can I Turn To?
- Unexpected Song
- Moon River
- Losing My Mind
- Smilin' Through
- If I Loved You
- I'll Be Seeing You
BEST OF ACT ONE - Anthony Warlow - 1996
アンドリュー・ロイド・ウェバーのコンサートツアーの際に出されたらしいベスト盤。日本国内盤もあるものの、もう売っていないかも(中古CDで入手)。ということでコンピレーションCDなので曲自体の感想は他のCD参照でとりあえず紹介と余談のみ。
購入店: [中古CD] 参考: [Amazon.co.jp] 参考: [Amazon.co.jp] [HMV.au.com]
もちろん良いんだけど、個人的には必ずしもベストとは言えず、もっと入れて欲しい曲があるのにな、と思ってしまう。日本盤は歌詞ブックレットに日本語で曲の説明(歌詞の訳ではない)があり、読んでいると "Lily's Eyes" はセルフデュエット曲などと書いてある。え、これはかのフィリップ・クワストとのデュエット曲ですよ!("The Secret Garden"オーストラリアキャスト盤参照)いくら声が少し似ているからって……。そしてプロフ紹介ではテノールとあるがバリトン歌手のはずである(これは単なる形容詞かもしれない)。その他どうもいまいち信憑性の薄い解説付き。
- This Is The Moment
- Music Of The Night
- I've Got A Crush On You
- Unexpected Song
- Race You To The Top Of The Morning
- Bring Him Home
- Being Alive
- Soliloquy
- Desert Song (Blue Heaven)
- Love Changes Everything
- Who Can I Turn To?
- Anthem
- Lily's Eyes
- I'll Be Seeing You
- Without A Song
FACE THE MUSIC - Anthony Warlow - 2003
ビッグバンド系。アンソニーの声はベタなミュージカル・オペラ曲に似合うと思うので、ちょっとピンと来ない。決して悪いわけではないが、BGMと化している……ごめんなさい。ご本人はこういうのが好きらしく、この先このジャンルで行くのだろうかとちょっと不安。
購入店: [HMV.au.com] 参考: [Amazon.co.jp]
- Just In Time
- They Can't Take That Away From Me
- I'm Nobody's Baby
- More
- On The Road To Mandalay
- Call Me Irresponsible
- Little Girl
- Charade
- The Tender Trap
- Lover Come Back To Me
- The Girl From Ipanema
- Always
- Hello Dolly!
- Let's Face The Music And Dance
LES MISÉRABLES
The Complete Symphonic Recording - 1988
Enjolras(アンジョルラス)役
「レ・ミゼラブル」コンプリート・シンフォニック・レコーディング。思えばこれを買った動機の半分くらいがレビューサイトで讃えられていたアンジョルラスを聴いてみたかったからだった。(もう半分は完全版でフィリップのジャベールを聴きたかった)CD全体についてはレ・ミゼラブルページ内CSR感想をどうぞ。
購入店: [Amazon.co.jp]
私にとって『レ・ミゼラブル』原作のイメージからすると、アンソニーのアンジョルラスは雄々しすぎるわけだ。声が、というわけじゃなくて、歌い方が。そんな中で、 "ABC Cafe" 最後の "Let us take to the streets with no doubt in our hearts!" というところの "our hearts" とか結構理想のアンジョルラス声。でもほとんどこのタイプの歌い方のところがないので……。
必ずしも私の理想のアンジョラスではないものの、間違いなく聴いた中で一番素晴らしいアンジョルラスだとは思う。第一印象は、とにかく安心感のある堂々たる指導者! という感じだったが、それは緩急高低の激しい旋律の中にも常に完璧な音とリズムを備え、それでいて単に譜面どおりの音楽にしてしまわない様々な表情があるその結果で、聴けば聴くほどに発見があって素晴らしい。個人的に一番の聴き所は "One Day More" 。ここの素晴らしさは聴く度に時が止まる。
JEKYLL & HYDE
The Complete Work - 1994
Anthony Warlow, Linda Eder, Carolee Carmello 他
Henry Jekyll / Edward Hyde(ヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド)役
ミュージカル「ジキル&ハイド」のコンセプトレコーディング盤。舞台版にはない曲もあるようです。敢えて言えばこのページの中で最も好きな一枚(二枚組ですが)が、これ。友人に布教するなら私は確実にこれを選びます! とにかく皆に聴いて欲しい! これまでの人生で衝撃を受けたCDベストとかに入りそう。超お気に入り。
購入店: [Tower Recoards] 参考: [Amazon.co.jp]
舞台も見たことがなく、今のところ他のCDを聴いたこともないため比較しての感想ではないが、追記:後に幾つか他バージョンCDを聴き、舞台はDVDで観たが、やっぱりこれがオススメ!、とにかく強烈。 Complete Work というだけあって、これのみでもかなり「ジキル&ハイド」の世界を味わえる。ジキル/ハイドのまさに別人のような変化は絶句。ジキル博士の時の繊細でノーブルでちょっとか弱そうな美声が好きか、ハイドの時の危なくてセクシーな迫力の低音が好きか、迷うところ。アンソニーの「切ない絶唱」系はなによりも素晴らしいと思うのだが、この作品ってそれ系が満載でときめく。ある意味、肩の力を抜いては聴けないが。ストーリーも、暗くて激しい、私好みっぽい。これを聴く限りでは、原作を巧くベースに使いつつも、ドラマチックに全く違う話にしてあるなあという印象。そして、音楽が全編素晴らしい。
個人的には、有名な「This is the Moment」よりも、他の曲の方がより好き。ジキル博士がハイドに変化してゆく「Transformation」には暫く茫然とした。「Alive」とかもかなりツボ。ジキルとハイドが対決する「Confrontation」、最初に聴いたときはちょっと不満もあったのですが(歌にではなく、編集に)、改めて聴いてみるとこれはもう、怖ろしく凄い曲。しかしどうしてもあまりの演じ分けの凄まじさに、完全に分離して認識してしまう……。
娼婦ルーシーの、舞台オリジナルキャストらしいLinda Eder、この人がまた超すごい。声は深みがあって低音がセクシー。好み! 婚約者のリサ(Carolee Carmello)は、役柄的にはいまいち好みじゃないが、この人も良い感じ。その後の舞台ではなぜか名前が「エマ」と変わったらしく。私としては「リサ」の方がいいなあ。非常に重要なところで名前が呼ばれるのだが、音的にサ行の方が切ない気がするんだけど(色々変わっているらしいので、その部分が変わっている可能性もあるが……)。あと、アタソンがどうも脇役にされているのか、ちょっと印象は薄かったけれど、最後がとても切なくて好き。その他、英国ミステリーな「Murder, Murder!」など、アンサンブルの曲がこれまた素晴らしくてツボ。
付属の歌詞のページが白と黒に分かれていて雰囲気が出てるのは良いのですが、全部大文字なのもあってちょっと読みづらいのが難点。さらに欲を言えば「これはどういうシーン?」というのが多いので、ト書きがあると良かったのだが。と言うか、それよりも日本語訳が欲しいところです……。
これは作品として凄く好きかも! と思ったが、しかし個人的にはアンソニーのジキル/ハイドの齎すインパクトに負うところも大きく、他のCDを聴いてみたいような、みたくないような、悩むところ。このCDについては、いつかもっと詳しく語りたい。超お気に入り!
- Prologue
- I Need To Know
- Facade
- Bitch, Bitch, Bitch
- The Engagement Party
- Possessed
- Take Me As I Am
- Lisa Carew
- Board of Governors
- Bring on the Men
- Lucy Meets Jekyll
- How Can I Continue On
- This is the Moment
- Transformation
- Lucy Meets Hyde
- Alive
- Streak of Madness
- His Work and Nothing More
- Sympathy-Tenderness
- Someone Like You
- Mass
- Murder, Murder!
- Letting Go
- Reflections
- In His Eyes
- The World Has Gone Insane
- The Girls of the Night
- No One Knows Who I Am
- It's a Dangerous Game
- Once Upon a Dream - Lisa
- No One Must Ever Know
- A New Life
- Once Upon a Dream - Jekyll
- Confrontation
- The Wedding Reception
THE SECRET GARDEN
Hightlights from the Australian Musical Production - 1995
Anthony Warlow, Marina Prior, Philip Quast 他
Archibald Craven(アーチボルド・クレーヴン)役
購入店: [Tower Recoards] 参考: [HMV.au.com]
F. H. バーネットの『秘密の花園』をベースにしたミュージカルの、オーストラリアキャストのハイライト盤。ハイライト過ぎて、歌詞カードもないのでストーリーはよくわからないが、音楽が美しくてかなりオススメ。曲数が少ないのが残念。その数曲と原作での推測イメージからすると、この役はなかなか私のツボを衝いている。CDジャケもかわいい。
- Winter's On The Wing
野性少年、ディコン (Tom Blair) のソロ。ケルティック? ジャンルはよくわからないが、ちょっとエキゾチックで好き。この中で一番旋律が好きな曲がこれかも。
- Race You To The Top Of The Morning
アーチボルド。シチュエーションが全然わからないのだが、歌い方は神経質そうでかなりツボです。アンソニーの、こういう声が一番好きかも。
- Lily's Eyes
アーチボルドとドクター・クレーヴン (Philip Quast) とのデュエット。これも状況が謎。ドクターの立場もよくわからないし。まあそれはいいとして、耳に残る良い曲。しかし曲の良さより何より、アンソニー&フィリップの共演という豪華さがポイント! やはり声はちょっと似ている気がする(レミゼでは全く思わなかったけれど)。フィリップの出番はこの一曲だけでちょっと残念。この曲はアンソニーのベスト盤に収録されているようだ。
- Wick
ディコンと、原作の主人公メアリー (Samantha Fiddes) 。これから秘密の庭を蘇らせようという歌なのだろうか。メアリーの子役は、歌の巧さはいまいちですが雰囲気がかなり素敵。これも旋律が好き。
- Come To My Garden
アーチボルドの死んだ妻リリー (Maria Prior) と息子のコリン (Bart Ritchie)。澄んだ綺麗なソプラノで秘密の庭に導くリリーさんの幽霊(?)がそこはかとなく怖くて美しい。個人的に、この音域の歌を好きになることは滅多にないのだが、これはかなりお気に入り。コリンの儚いボーイソプラノも綺麗。
- Hold On
召使のマーサ (Susan-ann Walker) 。状況はわからないが、この人も良い声!
- Where In The World
アーチボルド。リリーを失って絶望している曲のように思えるが、流れが謎だし如何せんストーリーが不明。短い曲ながら、個人的に大好きな悲痛に歌い上げ系。七色の声の中でもこのあたりが最大のツボ。
- How Could I Ever Know
アーチボルドとリリーのデュエット。離別の曲のようです。幽霊として再会したけどまた去っていくとかそいういう感じ? なんかこう、切なくて護ってあげたい儚げな感じがかなりハマっている……リリーじゃなくてアーチボルドが。笑 そのせいか、リリー(の幽霊)は、声の印象としてはむしろ母性が強そうな、去ってゆくけど貴方の心の中にいるから許してね、みたいな若干上から見てる感じのような気が。哀しくて、可愛い。
THE SPIRIT OF CHRISTMAS 2001
色々なアーティストがクリスマス曲を歌うチャリティCD……らしいのだが、残念ながらもう手に入らない模様。アンソニーは "O Holy Night" を歌っている。しかし! 実は現在公式サイトでこの曲が聴ける。のでその感想。
もちろん歌は素晴らしく、しかしつっこみどころがない。耳慣れた音楽を彼の歌声で聴けるということで、ときめくのですが、どちらかというとアンソニーの声が既に好きな人向けかと。もっと真の魅力を発揮するもの、彼にしか歌えないものというのは、よりディープでどろどろしたストーリー性のある音楽だと思うのだ。何が言いたいかというと、アンソニーを知らない人に(オンラインにあるので)これだけを聴いて判断しないで欲しいということである。
Gilbert&Sullivan's PATIENCE - 1995
Dennis Olsen, Anthony Warlow, Christine Douglas 他
Archibald Grosvenor(アーチボルド・グロヴナー)役
DVD (Region1, NTSC, 130分)※日本国内用(Region2)プレイヤーでは再生できません
ギルバート&サリヴァンのオペレッタ。コミカルな諷刺歌劇。役は自称、美の受託者(評議員?)ナルシスト詩人アーチボルド。衣装からしてかなりぶっとんでいますが妙にキュートなキャラ。下記にあらすじと感想をまとめてみましたが、パッケージの写真は普通になった後(笑)です。
購入店: [Amazon.co.jp] 参考: [Amazon.co.jp]
多分こんな話
村の乙女たちは皆、唯美主義の詩人レジナルドに憧れて彼を取り巻いている。竜騎兵将校たちのプロポーズにも応えようとしない。しかしレジナルドは乳搾り女のペイシェンスを愛していた。ところがペイシェンスは恋をしたことがなく、むしろそんな自分を誇っている娘だった。しかし愛とは利他的(非利己的?)な感情だと教えられたことを切欠に、愛を知らない自分はなんと悪い人間だったのかと愕然とする。今すぐ誰かを愛さなければと思いこんでいるところへ、見知らぬ中世風のいでたちの青年がやってきて、突然彼女にプロポーズ。それは幼馴染みの美しい少年アーチボルドが成長した姿だった。彼は美しすぎるためにあらゆる女性に一目惚れされ困っていた。ペイシェンスはようやく愛を知るが、彼の申し出を受けることはできない。すべての女性たちに愛される完璧な青年を独占することは利己的だった。哀しみながら二人は分かれる。
ペイシェンスにふられて傷心のレジナルドは、クジ引きで花嫁を決めることにした。そこに、利他的な愛を実行する義務感からペイシェンスが駆けつけた。レジナルドは喜んで受け入れる。そこへアーチボルドがやってきて、乙女たちは皆たちまちその虜になってしまった。アーチボルドが村にやってくるまで、自分こそが皆に愛されていたレジナルドは、彼の存在に迷惑し、彼に唯美的なファッションをやめさせようと企てる。一方で竜騎兵の将校たちは、乙女たちに気に入られるため、唯美的な(つもりの)ファッションに転向する。
レジナルドにそそのかされたアーチボルドは唯美主義を捨て、ごく普通の青年になった。レジナルドは明るく田園詩的(?)に変身するが、乙女たちはアーチボルドに倣って唯美主義を捨ててしまった。さらにペイシェンスは完璧になったレジナルドを愛することは利己的で許されず、またしても彼はふられてしまう。普通になったアーチボルドはめでたくペイシェンスと結ばれ、竜騎兵将校たちは乙女たちとそれぞれ結ばれるが、一人レジナルドだけが花嫁を得ることが出来なかった。
感想
オペラに疎いため、感覚的な感想を……。歌は女性陣のインパクトが強烈(体格的にも)。ペイシェンス(Christine Douglas)のソプラノは流石の迫力ですが、個人的には乙女たちの一人(なの?)レディ・ジェーン(Heather Begg)がコントラルトを響かせていて素敵素敵。アーチボルドは、朗々たる美青年声を発揮しているのはいいのだが、中世吟遊詩人風の衣装がほんとになんとも言えない。笑 妙なスタイルの長髪とマントにピンクのタイツが強烈で、天然ナルシストという濃いキャラクタのわりに、なんだか爽やかに可愛いのは人徳なんだろうか。衣装はともかく、いつもにこにこキュート。オペレッタなので、彼得意の(と勝手に思っている)囁きとかそういう表現こそ見られませんが、歌はとても素晴らしい! こちらはナチュラルに耽美なレジナルド(Dennis Olsen)との謎の絡みも見られる。結構全体的に台詞が多め。ラストで「普通」になった後、いきなりハードボイルドキャラになっているその変身ぶりは流石である。口ずさめる綺麗で軽快な音楽も結構ツボで、基本的には喜劇が苦手な私でも充分楽しめた。
FLEDERMAUS - 1997
Anthony Warlow, Neil Kirkby 他
Gabriel von Eisenstein(ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン)役
ヨハン・シュトラウス二世のオペレッタ「こうもり」。舞台を1930年代のニューヨークに置き換えた作品。
購入店: [TV録画] 参考: [Amazon.co.jp]
偶然TV放映していたものを友人に見せてもらった。現在、日本版のDVDは出ていない?
感想工事中……
THE MAIN EVENT - 1998
Olivia Newton-John, John Farnham, Anthony Warlow
DVD(Region4, PAL, 159分)※日本国内用(Region2, NTSC)プレイヤーでは再生できません
1998年12月に行われた、オリヴィア・ニュートン=ジョン、ジョン・ファーナムとのジョイントコンサート。 "The Main Event is pure magic." (紹介文より)。非常に見応えがある。ジャケットのセンスは何とも言い難いものがあるが……。曲目は下記、感想の下方に。
購入店: [HMV.au.com] 参考: [Dress Circle]
一番のお気に入りは『オペラ座の怪人』より「Music of the Night」。この曲とても好き。コンサート会場がその表現力のみで一瞬にして物語の世界になるのは驚き。この曲はソロアルバムでも聴いたが、視覚的要素もあってか、こちらの方がさらに好き。手の動きが美しい! ついでに睫毛が長い……。最後の "You alone can make my song take flight, Help me make the music of the night" というところが、とても孤独で純粋で切ない。支配的で狂気的とも言えるけれども、とても無垢な感じ。こんな哀しい曲だったとは。泣ける。知人にこのDVDを無理やり見せたところ、「何の変哲もないコンサート会場が一瞬にして怪人の隠れ家になり、蝋燭の灯が浮かび上がってくるよう」ということを言っていた。まさに何も無いところから舞台を作ってしまう、そんな一曲。しかし当たり前ながら、曲が終わると素のアンソニーに戻って、妙に愛らしい笑顔をふりまきジョークを言ったりするそのギャップが面白い。
数曲挟んでの『ジキル&ハイド』より「This is the Moment」。これは、気のせいかオーケストラが速過ぎるような。しかしやっぱりこの曲なのね。個人的には『ジキル&ハイド』にはもっと真の名曲がいっぱいあるのに、と思う。確かに良い曲ではあるんだけど、ミュージカルナンバーならではという部分が少ない、無難な曲のように思えるので、「Alive」とかやってほしかったな。しかし歌はもちろん素晴らしい。さっきまでエリックだったとは思えない変貌ぶり(でもジキル博士はもしかしてわりと素に近い?)。オープニングのメドレーでは「Phantom of the Opera」も聴けるのだが、かなりアレンジ版な上に部分的なので、フルで歌って欲しかったな。
全体的な感想としては、歌はもちろん素晴らしいんですが、総じて意外なハイテンションぶりが可愛い! まじめにお茶目な人という印象。ダンスやモノマネも披露。しかし全体的に、MCが何言ってるのか私にはなかなか聴き取れません……。気のせいか、他の大御所お二方に年下として可愛がられている感じ。曲目的には、思わず一緒に口ずさめるフィナーレの「Don't You Know It's Magic」とか好き。初めて聴いた曲で、一番好きなのはアンコールの「You're The Voice」。これはジョン・ファーナムの曲? どこか魂の次元で懐かしい感じのする名曲。それから、ある意味では本編より面白い、ボーナストラックの楽屋映像が美味しい。
- Overture
- Age Of Reason
- Phantom Of The Opera
- A Little More Love
- Age Of Reason
- Prologue(Anthony Warlow)
- Music Of The Night(Anthony Warlow)
- What Kind Of Fool Am I/World On A String/I've Got You Under My Skin(Anthony Warlow)
- This Is The Moment(Anthony Warlow)
- Magic(Olivia Newton-John)
- If You Love Me(Olivia Newton-John)
- Precious Love(Olivia Newton-John)
- Hopelessly Devoted To You(Olivia Newton-John)
- That's Freedom(John Farnham)
- And I Love Her(John Farnham)
- Burn For You(John Farnham)
- Everytime You Cry(John Farnham)
- Have A Little Faith(John Farnham)
- Don't Cry For Me Argentina(Olivia Newton-John)
- Please Don't Ask Me(Olivia Newton-John & John Farnham)
- You're The One That I Want(Olivia Newton-John & John Farnham)
- Two Strong Hearts(Olivia Newton-John & John Farnham)
- Not Gonna Give In To It(Olivia Newton-John & Anthony Warlow)
- The Long And Winding Road(Olivia Newton-John & Anthony Warlow)
- Country Roads(Olivia Newton-John & Anthony Warlow)
- I Honestly Love You(Olivia Newton-John & Anthony Warlow)
- Love Is A Gift(Olivia Newton-John & Anthony Warlow)
- Help(John Farnham & Anthony Warlow)
- That's Life/Bad Habits(John Farnham & Anthony Warlow)
- Granada(John Farnham & Anthony Warlow)
- You've Lost That Loving Feeling
- Summer Nights
- If Not For You
- Let Me Be There
- Touch Of Paradise
- Raindrops
- Banks Of The Ohio
- Jolene
- Hearts On Fire
- Don't You Know It's Magic
- You're The Voice (Encore)
- Backstage at The Main Event (Special Bonus)
もう少し詳しい紹介
注:プロフィールは主にウェブサイトやCDブックレットなどによる情報。情報源がほとんど英語なので、私の理解力では信憑性が低い。間違いを発見したら教えてください。やや時代順。
- 名前の読み方は「アンソニー・ウォーロウ」が近いと思う。結構珍しい苗字らしく、検索しやすい。後に日本では「アンソニー・ワーロウ」と表記されていることを知ったけど、このサイト内では勝手に「ウォーロウ」と書いています。ついでに、レミゼCSR(の私が持っている版)の名前クレジットは誤植のようで Warlowe となっているんだけど。ついでに "Anthony" という人名の語源を調べたらラテン語で「測り知れない」の意という説があるそうで、なんだか良いかも。
- 出身地はオーストラリア・ウーロンゴン、1961年11月18日生まれ。ミッキーマウスと同じ誕生日。蠍座ですね。
- 19歳で『真夏の夜の夢』の舞台でオペラ歌手としてデビュー。出演作品は『魔笛』『ラ・ボエーム』『トスカ』『オセロ』『ホフマン物語』『ロミオとジュリエット』『ドン・ジョヴァンニ』など。オペラ的にはバリトン歌手。24歳でミュージカルにも出演するようになり、『ガイズ&ドールズ』で成功を収める。『レ・ミゼラブル』オーストラリア公演でアンジョルラスを演じ、その後の国際キャストレコーディングにも抜擢される。
- 28歳にして『オペラ座の怪人』オーストラリア初演のファントム役を務める。CDがないのが残念! 当初はラウル役の筈だったが、演出家ハロルド・プリンスとプロデューサーのキャメロン・マッキントッシュによって抜擢された。ファントムで大成功を収め、 "Advance Australia Award" などを受賞。
- 『オペラ座の怪人』の成功の後、『ジーザス・クライスト・スーパースター』にピラト役で出演することになっていたようだが、癌(リンパ腫)に倒れる。それを克服し、カムバック後にリリースされたアルバムが "Back in the Swing" 。このレコーディング中は化学療法を続けていたらしい。次いで行われたコンサートツアーはソールドアウトし、次の舞台は『マイ・フェア・レディ』でヒギンズ教授を演じた。
- ちなみに、上記事情により髪がなくなってしまったとのこと、むやみに禿げとか言わないで。
- 奥さんと娘さんがいる。超・家族思いの旦那様/お父様のようで、彼の活動の原動力らしい。ソロアルバムにはよくフィービー(娘の名前)に捧ぐと書かれている。娘さん、アンソニーにそっくり。
- ギルバート&サリヴァンのオペレッタ『ペイシェンス』でオペラ界に復帰。ミュージカルでは『シークレット・ガーデン』でアーチボルド・クレーヴン役を務める。CDが超一押しの『ジキル&ハイド』はコンセプト・キャストで、ステージでは演じていない。
- 96年にアンドリュー・ロイド・ウェバーの各国コンサートツアーでサラ・ブライトマンと共演。日本でもソロでこのツアー公演が行われたらしい。当時の人が羨ましい!
- その後再び『マイ・フェア・レディ』、オペラではヨハン・シュトラウス二世の『こうもり』に出演。『グリース』のオーストラリアツアーの際にリリースしたCDの売上はシドニー・キャンサー・センター(正しい日本語訳不明)などに寄贈されている。
- 98年にオリヴィア・ニュートン=ジョン、ジョン・ファーナムというオーストラリアのトップスターとのコンサート "The Main Event" を行う。また、オーストラリア白血病財団(これも正しい日本語訳不明)の国内大使となる。オーストラリア人間国宝(!)に認定される。
- その後再びオペラ『魔笛』、ミュージカルでは『アニー』『ラ・マンチャの男』などに出演。『アニー』では彼のために "Why Should I Change a Thing" という新曲が書かれたらしい。
- 04年にはギルバート&サリヴァンの和風(というべきか)喜歌劇『ミカド』に出演。役は死刑執行長官ココ。
アンソニー・ウォーロウ関連リンク
追記:現在、残念ながら閉鎖・行方不明となっているサイトがあります。
- Official Anthony Warlow Site
- 公式サイト。そこはかとなくほのぼのとしていて楽しい。ちなみに、メニュー左上のディスクアイコンからクイック・ミュージック・リンクページに行くと "O Holy Night" が聴けます。
- Midnight Dreaming
- 紹介からインタヴューまで情報いっぱいのファンサイト。写真もいっぱい。が、英語のためこれも思いきり斜め読み。いつか辞書ひいてちゃんと読んでみたいです……。あシークレット・ガーデンの写真がダンディで麗しい。
HMV Australia- HMVオーストラリア。CD、DVDの通販。日本への送料等は Customer Service か Help を参照。
- Opera Australia
- オペラ・オーストラリアの公式サイト。Artists欄にプロフィール紹介もあり。
- IMDb > Anthony Warlow
- 映画データベースサイトIMDbのデータ。映画俳優でないので詳しいことは載っていないが、映像になっている作品は掲載されている。
- PATIENCE or Bunthorne's Bride
- 「ペイシェンス」のリブレット。
- ABC Brisbane "Kelly Higgins-Devine - Filling in for steve austin - talks with Anthony Warlow"
- インタヴューなんですが、聴き取れない……。J&Hの"This is the Moment" も聴ける。ABC Online には他にもあり。