オランダ アムステルダム・キャスト盤

レ・ミゼラブル アムステルダム・キャスト盤(オランダ)

1991年、アムステルダム・キャストのオランダ盤。オランダ語。そこはかとなく辛口感想なのは、他のCDを聴いた後に聴いたからかも。

特徴:スローテンポ、ハスキーボイス大集合、悪の結社のようなABCの友首脳陣にびっくり、妙にかっこいいグランテールにびっくり、子役が残念。

キャスト

JEAN VALJEAN : Henk Poort
JAVERT : Ernst Daniël Smid
FANTINE : Pia Douwes
MARIUS : Danny de Munk
COSETTE : Joke de Cruijf
ÉPONINE : Vera Mann
THÉNARDIER : Paul de Leeuw
M.THÉNARDIER : Simone Kleinsma
ENJOLRAS : Bill van Dijk
GAVROCHE : Spike Huisman
L.COSETTE : Kim la Croix
GRANTAIRE : Peter de Smet
演奏(指揮: Maurice Luttikhuis)

はお気に入り度

キャスト雑感

ジャン・バルジャン: Henk Poort

TACの瞬間的出演で一番気になったバルジャン。オペラ歌手でもあるらしく、素晴らしい美声。しかしながらどうも、美声が活かされていないような気がして、やはりバルジャンは、オペラ的なテノール声ではなく、ロック系ハイトーン向けなのか、と思わせられる。しかしながら、高音をもの凄い安定感で朗々と延ばしているのは流石。もっとも逆にその安定度ゆえ、余裕がありすぎるように聞こえてしまい、魂の叫びという感じがあまりしないのが残念。しかし決してオペラ的な表現のみに留まらない幅があって、晩年の溜息のような細かい表現はとても泣ける。バリトン声二人の「対決」はド迫力。けど、何だか音響がおかしい。歌のせいではなく、強弱を付けすぎ?

ジャベール: Ernst Daniël Smid

格好良いといえば格好良いのだが、非常に表現が大仰で、かつあまりにドスが効きすぎ。バルジャンがジャベールに似合いそうな声なので、これくらいじゃないと被るのかもしれないけど。本来下品な声というわけではなさそうで、朗々と歌うととても格好いいのだが、感情的過ぎというか、抑揚が有りすぎというか、にぎやかな人だなあーという感じになってしまい、ストイックさや厳粛さがいまひとつ感じられないため、自殺もどうも感情移入しづらい。

ファンティーヌ: Pia Douwes

気が強くて、勢いのある感じ。それも明るいというのではなく、ちょっぴり狂気っぽい勢い良さ。大人っぽい声ではあるが、結構可愛い。"Lekkere meiden" ("Lovely Ladies") 後半(逮捕まで繋がってるので中盤か)のバマタボワとのやりとりが好き。荒んでいたかと思うと、一転して訴えるところの無垢な感じ、その後のキレっぷりと変幻自在な危なさが好み。ただ、死に際があまりに朗々としすぎているのは残念。

マリウス: Danny de Munk

"Omlaag, Omlaag"("Look Down")の登場のもの凄いダミ声でビックリ。違う人が歌っているのかと思ったけど、ブックレットの歌詞を見る限りここはマリウスなのか……。アンジョルラスがさらに上をゆく悪党声(後述)なので、こんなまるで悪の結社みたいなABCの友はありなのか!? と衝撃を受けていたら、マリウスはその後突然、普通に……。 基本的には、弱ハスキーの細めの声でちょっとヘタレてて、マリウス王道っぽい感じ。しかし、何故かやはりときどき異質な部分が。地声になると変にドスが効きすぎる。言語的に響きが濁りがちなせいだろうか。

コゼット: Joke de Cruijf

可愛い。コゼットにしては低めの声質だが、ちょっとミステリアスというか、不思議な雰囲気が好み。

エポニーヌ: Vera Mann

可愛らしすぎず下品すぎずという感じ。このCD、女性陣の声はとても良い。しかしこの人も、死に際が全然死にそうにないのが残念……オランダ語の響きが勢い良いからだろうか?

テナルディエ: Paul de Leeuw

甲高い声に軽い感じの歌い方で、非常に人物像が浅い感じを受ける。しつこすぎる哄笑もちょっと苦手。

テナルディエの妻: Simone Kleinsma

まさに悪役という感じ。とても好きというほどでもないけれど、まずまず良い。

アンジョルラス: Bill van Dijk

このCDで一番苦手! 高低の激しいフレーズも着実に音をヒットさせつつ、表情豊かで譜面通りでない表現を巧みに使っていて、技術的には「巧い人」と感じるんだけど、どうにも声のタイプとしてアンジョルラスの麗しいイメージとはかけ離れている……を通り越して、正反対。ドスの効いたダミ声で、威厳も感じられない。特に、台詞っぽいフレーズになるとほとんど小悪党みたいである……。

ガブローシュ: Spike Huisman

このCDで二番目に苦手。なんでそんなに脱力してるの? という気合いの抜けた棒読み声で登場。しかも子どもっぽい。

リトル・コゼット: Kim la Croix

妙に明るくて、それがどうも健気というより脳天気な感じ。歌もいまいち巧くない。

グランテール: Peter de Smet

アンサンブルだが、このCDで一番好みだったので感想を。頽廃的でクールな美声。デカダン哲学者なグランテール。ちょっと二枚目声過ぎな気もするけど、雰囲気は非常に理想的。マリウスをからかうときも、溜息のように「ハン」と鼻で笑うところがたいへんときめく。バマタボワもちゃんと同じ人がやっていて、こちらはその声がまた全く別方向に活かされていて、これまたイメージどおり。聴いていて楽しい。嫌味たっぷりにファンティーヌを虐めたかと思えば、ジャベールに訴えるときの嘘泣きっぽい声音がまたバカっぽくて可愛い。しかしどうもなんだかオランダ語歌詞って、ところどころ字余りらしい。グランテールとしてもとても好きなんだけど、しかしこの人がアンジョルラスでアンジョルラスの人がグランテールならば、もう少し心穏やかに聴けたのかもしれない。

その他

かなりタメた感じのテンポが結構好きなんだけど、演奏の音はちょっと軽い。音響が悪いのか、CDの音質が悪いだけなのか。

アンジョルラス以外のABCの友は、皆ちょっとクセがあるけど若々しくて格好良く、青年という感じで好き。コンブフェール(Bas Groenenberg)はちょっと脳天気っぽい気もしないではない。フイイは日本でも人気の Uwe Kröger。司教様(Bert Luttjeboer)はどうも若々しすぎ。レーグルのときはいいんだけど。

低音の地声で歌うと人が変わったようにドスの効いた声に変身するのは、オランダ語の特質なのだろうか? 全く馴染みのない言語なので何とも言えないのだけど、あまりにもそういう人が多い。二重人格かと思うようなマリウス・アンジョルラスを筆頭に、ガブローシュ、コンブフェール、司教様なども、ややその傾向がある模様。

曲目

DISC 1:

  1. Proloog
  2. Aan het eind van de dag
  3. Mijn droom
  4. Lekkere meiden
  5. Wie ben ik
  6. Fantine's dood
  7. Man tegen man
  8. In mijn luchtkasteel
  9. Madame in d'r eigen persoon
  10. Baas van't hele spul
  11. De Théardier wals
  12. Omlaag, omlaag
  13. Ster
  14. Rood en zwart
  15. Hoor je het zingen op straat?

DISC 2:

  1. In mijn hart
  2. M'n hart zingt het uit
  3. De poging tot inbraak
  4. Schimmen uit 't verleden
  5. Nog één dag
  6. Heel alleen
  7. In naam van de vrijheid
  8. Javert op de barrikade
  9. Wij "ukkies"
  10. Jean Valjean op de barrikade
  11. De aanval
  12. Regen maakt de velden groen
  13. Drink met mij
  14. Breng hem thuis
  15. Hond eet hond
  16. Javert's zelfmoord
  17. Jong studentje
  18. Lege stoelen, lege tafels
  19. Elke dag
  20. De bruiloft
  21. Baas van't hele feest
  22. Finale