オリジナル・フレンチ・コンセプト・アルバム
ミュージカル版レ・ミゼラブルの原点。1980年、現在のロンドン版ミュージカルの初演より以前に、フランスで作られたコンセプト・アルバム。
現在のバージョンにはない旋律もある。逆に "Bring him home" "Stars" "On my own" といった舞台の名曲はまだなく、 "One day more" にあたる曲も構成が違い、比べると地味でやや散漫とした印象。 "On my own" の旋律は出てくるが歌っているのはファンティーヌ。楽曲アレンジがポップなためか、古い録音のためか、現在のもののような壮大さや重厚さはないが、別の作品と割り切って聴けば好み。
ストーリーや流れもかなり違うようだが、フランス語なので全貌が解読できていない……。物語はモントルイユ・スュール・メール時代から始まっている。これは、銀の燭台のエピソードはフランス人にとってはあまりにも常識だったが、ロンドン初演時には無くては話がわからないのでは、ということで付け足されたとのこと。そのため、ミリエル司教が出てこない。その他、マリウスの祖父のジルノルマンが出てくる、グランテールは出てこないなど、登場人物も少し違う。
キャスト
FANTINE : | Rose Laurens (FANTINE) | Rose Laurens | ★★★★★ | |
JEAN VALJEAN : | Maurice Barrier (JEAN VALJEAN) | Maurice Barrier | ★★★★★ | |
INSPECTEUR JAVERT : | Jacques Mercier (INSPECTEUR JAVERT) | Jacques Mercier | ★★★★★ | |
COSETTE ENFANT : | Maryse Cédolin (COSETTE ENFANT) | Maryse Cédolin | ★★★★★ | |
M.THÉNARDIER : | Marie-France Roussel (M.THÉNARDIER) | Marie-France Roussel | ★★★★★ | |
THÉNARDIER : | Yvan Dautin (THÉNARDIER) | Yvan Dautin | ★★★★★ | |
GAVROCHE : | Fabrice Bernard (GAVROCHE) | Fabrice Bernard | ★★★★★ | |
MARIUS : | Richard DeWitte (MARIUS) | Richard DeWitte | ★★★★★ |
ÉPONINE : | Marie (ÉPONINE) | Marie | ★★★★★ | |
COSETTE : | Fabienne Guyon (COSETTE) | Fabienne Guyon | ★★★★★ | |
GILLENORMAND : | Dominique Tirmont (GILLENORMAND) | Dominique Tirmont | ★★★★★ | |
COMBEFERRE : | Salvatore Adamo (COMBEFERRE) | Salvatore Adamo | ★★★★★ | |
FEUILLY : | Michel Delpech (FEUILLY) | Michel Delpech | ★★★★★ | |
COURFEYRAC : | Claude-Michel Schönberg (COURFEYRAC) | Claude-Michel Schönberg | ★★★★★ | |
ENJOLRAS : | Michel Sardou (ENJOLRAS) | Michel Sardou | ★★★★★ | |
演奏(指揮: John Cameron) | ★★★★★ |
★ は個人的なお気に入り度
※どこまでがメインキャストなのかよくわからないため、クレジット順。特別出演枠以外は登場順の表記らしい。
キャスト雑感
ジャン・バルジャン: Maurice Barrier
コルム・ウィルキンソン原型の今のバルジャンと比べることは難しいけれど、個人的にはとても原作っぽいバルジャンで好き。低音で物静かなイメージ。
ジャベール: Jacques Mercier
この人だけは残念。品がなく苛々した感じの典型的な悪役風であり、私のジャベール像とは著しくかけ離れている。最初出てきた時には、ジャベールだと一瞬気付かなかったくらい。
ファンティーヌ: Rose Laurens
歌は味があって素晴らしいが、大人っぽい・どちらかといえば老けた声質が、ファンティーヌとしては好みでない。"J'avais rêvé d'une autre vie"("I dreamed a dream"の原曲)のアレンジが現在のものより好き。
マリウス: Richard DeWitte
ちょっと鼻にかかったヘタレた感じの声。原作のイメージに近いマリウス。
コゼット: Fabienne Guyon
嫌味のない純粋な乙女らしい声で、とにかく可愛い! このアルバムの中でもとりわけ役に似合っていて好き。
エポニーヌ: Marie
甘くて可愛らしい。もう少し荒んだ感じがあってもいいかも。
テナルディエ: Yvan Dautin
当たり障りのない感じ。どちらかというとコミカル。
テナルディエの妻: Marie-France Roussel
今のキャラとはかなり違う感じ、安心して聴ける無難な声。
ガブローシュ: Fabrice Bernard
変な子供っぽさが少なく、凛々しい! 出番も多く、浮浪児で英雄の素敵なガブローシュ。
リトル・コゼット: Maryse Cédolin
可愛い声だが、演技力・歌唱力にはやや難あり。
ジルノルマン: Dominique Tirmont
ちょっと若々しすぎる……。
クールフェラック: Claude-Michel Schönberg
歌手でもある作曲家のクロード=ミシェル・シェーンベルグ本人が、クールフェラック役で登場。しかし出番が少ないのでコメントし難い。
アンジョルラス: Michel Sardou
現在のものとはアレンジが違い、アンジョルラス一人舞台の "À la volonté du peuple"("Do you hear the people sing?" の原曲)が名曲。こちらもシャンソン歌手らしい渋い声のためあまりアンジョルラスというイメージではないが、単独の曲と割り切って聴くととても素晴らしいので、一曲だけでよく聴いている。
購入・試聴
大型CD店でよく見かける。幾つかのバージョンがある。
曲目
※注:併記の日本語訳は個人的に訳したもので、正確ではありません。
DISC 1:
- La Journée Est Finie
一日は終わった - L'Air De La Misère
惨めさの歌 - Les Beaux Cheveux Que Voilà
なんてきれいな髪だろう - J'Avais Rêvé D'Une Autre Vie
違う人生を夢見ていた - Dites-moi Ce Qui Se Passe
何が起きたのか言いなさい - Fantine Et Monsieur Madeleine
ファンティーヌとマドレーヌ氏 - Mon Prince Est En Chemin
私の王子様がやってくる - Mam'zelle Crapaud
チビのお嬢さん - La Devise Du Cabaretier
宿の主人のモットー - Valjean Chez Les Thénardiers
テナルディエ家でのヴァルジャン - La Valse De La Fourberie
詐欺師のワルツ - Donnez, Donnez
おくれ、おくれ - Rouge et Noir
赤と黒 - Les Amis De l'ABC
ABCの友
DISC 2:
- À La Volonté du Peuple
人民の志のために - Cosette: Dans la Vie
コゼット:人生において - Marius: Dans la Vie
マリユス:人生において - Voilà Le Soir Qui Tombe
ほら、日が暮れる - Le Cœur Au Bonheur (Cosette Et Marius)
幸福への想い(コゼットとマリユス) - L'Un Vers L'Autre
おたがいに - La Faute À Voltaire
罪はヴォルテールに - La Nuit De L'Angoisse
苦悩の夜 - Demain (Final 2e Acte)
明日(二幕おわり) - Ce N'est Rien
なんでもないわ - L'Aube Du 6 Juin
六月六日の夜明け - Noir Ou Blanc
黒か白か - La Mort De Gavroche
ガヴローシュの死 - Marius Et Monsieur Gillenormand
マリユスとジルノルマン氏 - Le Mariage, "Soyez Heureux"
結婚、"お幸せに" - L'Aveu De Jean Valjean
ジャン・ヴァルジャンの告白 - Marchandage Et Révélation
取引と発覚 - Epilogue: La Lumière
エピローグ:光