オリジナル・ロンドン・キャスト盤

レ・ミゼラブル オリジナル・ロンドン・キャスト盤

1985年、ロンドン初演バージョン。一応完成形ながら、現在のものとは少し構成が異なる。

このCDは実際の舞台を観るよりかなり昔に聴いたのだが、今改めて聴いてみると実はかなりキャストの声が好み。しかし全体的に無難に平均点が高いという感じなので、これぞというインパクトには欠ける気もする。

これを聴くと、後に「美味しい部分」が足されたり、細かい配分が振り分けられて進化していったのかと感慨深い。全体としては既にまとまっているが、私としては "Stars" の歌詞が違うので物足りない。逆に、ここでは存在しているガブローシュのソロ("Little People" のロングバージョン)が改訂後になくなってしまったのは、とても残念。コゼットのソロも削減されてしまったらしい。

私が持っているCDは日本国内盤で(注:参考リンク先は輸入盤。日本盤は廃盤)、歌詞の翻訳が付いており、現在の歌詞とは少し違うが、参考になる。

キャスト

JEAN VALJEAN : Colm Wilkinson
JAVERT : Roger Allam
FANTINE : Patti LuPone
MARIUS : Michael Ball
COSETTE : Rebecca Caine
ÉPONINE : Frances Ruffelle
THÉNARDIER : Alun Armstrong
M.THÉNARDIER : Sue Jane Tanner
ENJOLRAS : David Burt
GAVROCHE : Ian Tucker
L.COSETTE : Zoe Hart
演奏(指揮: Martin Koch)

はお気に入り度

キャスト雑感

ジャン・バルジャン: Colm Wilkinson

あまりにも、コルム様! という権威な感じがあり過ぎて、どうにも今さら客観的に聴けない。聴き直すと、やっぱりとても若い。この方は元ロックシンガーだそうだが、このときの方がロックを感じるかも。一方、後の録音に比べると、 "Bring Him Home" などはちょっと物足りない。歌というよりは演奏のせいかも。この盤の指揮はとてもテンポが遅い印象なのに、何故かこの曲に限って落ち着きがない。

ジャベール: Roger Allam

とても端正で、紳士的なジャベール。"Stars" は意志の強さも出ていて好きなんだけど、現バージョンとは歌詞が違うのが残念でならない(演奏もメロディアスで独特)。「自殺」もとても良くて、やはり非常にまじめで端正な中にも心情の揺れ動きが伝わってくる感じ。ソフトな声なので、強いて言えばもう少し迫力が欲しいところだろうか。

ファンティーヌ: Patti LuPone

ややドラマティック感に欠けるが、普通……無難。若干老け気味。個人的にファンティーヌは、少女的な可愛さ、無垢さとともにどこか危なさを備えた人が理想で、世間のイメージとは違うのか、なかなか好みのファンティーヌが見つからない。

マリウス: Michael Ball

こちらは、マイケル様! という権威な感じが別にしないのは、個人的なんだろうか?笑 彼のマリウスを一番最初に聴いたのはこのCDの筈だが、その後CSRとTACで聴きすぎて、どうもこの盤のマリウスは印象が薄い。でも、とても素晴らしい。やっぱり比べてみると若い気もするけど。この人って、冷静に聴いてみると実は案外、重い(低い)感じの声なのだが、しかしぼわぁぁあああと深みのあるビブラートを響かせる非常に独特の発声が、やはりどうにも甘ーい感じの印象。でもTACで聴けるものすごいマリウスに比べるとちょっと物足りない。

コゼット: Rebecca Caine

このCDで、最も特筆すべきキャストは実はこの方だろうか。透明感と優しさのある、嫌味のない乙女声で、とても上品で可愛い。コゼットというのは、どうも熱く語りにくいステロタイプなキャラクタではあるけれど、私的ベストコゼットは今のところこの人。現行バージョンにはない、"I Saw Him Once" というコゼットのソロがこの人の声で残っているのはとても嬉しい。

エポニーヌ: Frances Ruffelle

甘い声質ながら、キャピキャピしていないところが可愛い! 私はエポニーヌがさほど好きなキャラクターではないため、どうも熱意のないコメントになってしまうが、"On My Own" のすさみっぷりが哀しくて、とても好み。しかし微妙にこの人の声って、このアルバム全体の雰囲気から浮いてる気もする。

テナルディエ: Alun Armstrong

やや明る過ぎ。プリュメ街の襲撃はかなり好きなんだけど、"Dog Eats Dog" はどうもちょっと暢気な感じがする。ミュージカル版のテナルディエ(夫妻)はコミカルな面を担当する役回りだということはわかっているんだけど、私の好みとしては、その中にも毒気とか、彼自身また悲惨な境遇にあってこういう生き方になってしまったのだ、というすさんだ感じが垣間見えるところにテナルディエというキャラクタの魅力を感じるので、楽しいだけではどうもつまらない。そもそもミュージカルのテナルディエの描き方自体があまり好きじゃないんだけど。あくまでこれは(たぶん非一般的な)好みなので、普通には素晴らしいんだろうと思う。この方はTACにもご出演。どちらかというとそちらの方が好き。

テナルディエの妻: Sue Jane Tanner

一方この人は、なかなか良い感じ。ちょっと大仰だけど。

アンジョルラス: David Burt

綺麗めの声で、歌も巧くてカリスマもそこそこあって、これまた非常に無難な感じのアンジョルラス。私的な辛口アンジョランキングでは実はかなり上位なんだけど、ツッコミポイントがない代わりにときめきポイントもなく、コメントが難しい。

ガブローシュ: Ian Tucker

ガブローシュとしては普通で、歌の巧さも普通だけど、何といってもソロナンバーがあるのが良い。"Little People"、とても軽快な旋律に絶妙な歌詞で、とてもガブローシュらしい名曲。そういえば実は、実際の舞台を見た時に「この曲はないんだ!」とショックを受けたのだった。旋律自体は後のバージョンに残っているものと同じだけど、原作ガブローシュのファンとしては、どうしてもこちらが名残惜しい。

リトル・コゼット: Zoe Hart

私が子供の頃、この "Castle on a Cloud" を偶然ラジオで聴き、耳慣れない英国式発音に衝撃を受けたという、思い出の人だったりする。歌は普通。