レ・ミゼラブル 10周年記念コンサート

レ・ミゼラブル 10周年記念コンサート

1995年10月8日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールにて行われたレ・ミゼラブル10周年記念コンサートのDVD。コンサートなので、基本的にはマイクの前に立っている。しかし出演者はそれぞれの衣装を着て(時々着替えたりもする)歌い、細かい表情の演技にも感動できる。曲目は全編あるわけではないが、カット部分も自然に繋がっていて名曲揃い。非常におすすめ。

選りすぐりのキャストなので、とにかく皆が実力派。他にも、この時点で既に本来はメインキャストとして舞台に立っている人たちがアンサンブルとして豪華に出演している。

日本版DVDは音質がよくないのが残念。また、字幕が強制的に表示される。DVDのブックレットはメインキャストのみ記載だが、英語歌詞付き。なお、CD版(輸入盤)のブックレットにはアンサンブルとコーラス(全158名?)まで含めたキャスト名が記載されているが、歌詞はない。

CD版の紹介はこちら(詳しい感想は書いていませんが)。

キャスト

JEAN VALJEAN : Colm Wilkinson
JAVERT : Philip Quast
FANTINE : Ruthie Henshall
MARIUS : Michael Ball
COSETTE : Judy Kuhn
EPONINE : Lea Salonga
THENARDIER : Alun Armstrong
M.THENARDIER : Jenny Galloway
ENJOLRAS : Michael Maguire
GAVROCHE : Adam Searles
L.COSETTE : Hannah Chick
アンサンブル
演奏(指揮: David Charles Abell)

はお気に入り度

キャスト雑感

ジャン・バルジャン: Colm Wilkinson

ロックテイストのハイトーンを誇る元祖ジャン・バルジャン。オリジナルキャストである彼の音域を生かす為にバルジャンの歌はテノールになったそうだ。囁きかけるような、語りかけるような歌声ながら、クール。この人が"Javert"と言うときの"R"の発音が好きで、呼ばれるたびにジャベールファンとしてときめく。コンサートゆえか、あまり大きな演技はしていないが、歌がすべてを物語る。個人的な原作イメージとはちょっと違う気もするが、この際それはあまり意味のないことであり、とりあえず素晴らしい。

ジャベール: Philip Quast

素晴らしいジャベール。凛とした威厳と張りのある歌はもちろん音楽としても凄いが、それ以上に総合的な表現力が素晴らしい。音の一つ一つに巧みな意味が感じられ、ヴィジュアル面でも、細かい表情の演技から小道具(警棒、シルクハット、果てはマイクスタンド)の扱い方に至るまで、コンサートながらも歌によって演じるというミュージカル(あるいはポップ・オペラ)という分野そのものの奥深さを感じることができる。もちろん技術が凄いだけではなく、格好良い。非常に彫りの深いお顔だけど、目力が凄い。少々ふくよかな体型も、コート着用で問題無し……ということにしよう、 "Stars"のシルクハット姿がまさにジャベール。全編通して素晴らしいが、特に "Javert's Suicide" の表現力は絶品。自嘲とも絶望とも崩壊ともつかぬ絶壁のような微笑に惚れる。終了後には一転してコルムと微笑みあいながら抱擁していたりする。

ファンティーヌ: Ruthie Henshall

演技は控えめ。そのためか、ちょっと正気過ぎるファンティーヌに見える。コンサートであるせいかどうか、死ぬところなどもやや元気すぎる感。そしてたいへん美人なのに、なぜかウィッグが似合っていない。しかしそれよりバマタボワに突っかかるドスの効き具合に、一目惚れ! 巻き舌絶品! こんな強いファンティーヌもありかもしれない、と思えてくる。終了後や待機中に垣間見える感じからすると、素はかなりノリの良いお茶目な人なのかも。

マリウス: Michael Ball

これでもかという存在感を披露。容貌はマリウスのイメージにはぽっちゃり過ぎるが(この人もオリジナルキャストだから、きっと昔は細かったのでしょう、これじゃさすがのバルジャンも担げないぞ)、なんとも歌声が甘くて個性的で、美しい。それでいてクラシカルな響き、遺憾なく醸し出される天然ぶり、陶酔ぶり、坊ちゃんぶり。この路線のマリウスとしてはやはりこの人が最高。

コゼット: Judy Kuhn

ちょっとエキゾチックなコゼット。普通に素晴らしいのだが、逆に特につっこみどころがない感じ……。表情は素晴らしい。

エポニーヌ: Lea Salonga

強くて切ない。正統派美人系ではないのに可愛い、というところもまさにエポニーヌ。それでいて顔全体が口かと思うような迫力ある歌唱! 可哀想なだけに終わらない、汚れた部分もちゃんとありながらも魂の部分で綺麗な、原作エポニーヌに近いものを感じる。コンサートとはいえ、この人は一番ちゃんと死んでいる。細かい動きが非常に可愛い。終了後に見せる素の感じも可愛い!

エポニーヌ: Alun Armstrong

歌も容貌も、凄い。しかし凄いとしか言いようがない。宿屋など何やらお酒の臭いがしてきそうな凄い顔。もちろん歌も素晴らしいのだが、どちらかというとコメディカルな面を重視した雰囲気で、少し毒が足りないのが個人的には残念。それにしても、最後には顔が見違えてるのにびっくり。

エポニーヌ: Jenny Galloway

出てきただけで観客が笑っているのはなぜ……? 普通に素敵なのだが、実は案外、ちょっと可憐過ぎ。顔立ちが可愛らしいせいだろうか。もう少し肝っ玉系でもいいような。体型と歌は素晴らしい。

アンジョルラス: Michael Maguire

凛々しく朗々としたアンジョルラス……ではあるのだが、どこか笑いがこみあげる。特に、マリウスと並ぶと微笑まずには観られない。指導者のカリスマ性は醸し出しているのだが、あまりにも演技がオーバーアクションに熱血すぎて、学生たちの結社というよりは、戦隊物リーダーとかスーパーマンとかに見えるような。アンジョルラスにはブロンドを求めたいところだが、黒髪。顔は何気に端正。でも、胸毛を見せないでください……(禁句)。何にしても、良い意味でいっちゃってる感じは素晴らしい。美声だが、微妙に音が惜しいところも多い。褒めてるのか貶してるのか我ながらよくわからないが、いろいろな意味で必見かも。

ガブローシュ: Adam Searles

とにかく素晴らしい歌声。生意気ながら、あくまで少年らしいガブローシュなので、もっと老成して偏屈っぽくてもいいと思うのだが。それにしても巧すぎである。 "My name's Gavroche"=「マイ ナームズ……」"My high society"=「マイ アイ ソサエティ」って感じの(コックニー風?)発音が非常にハマっていて、生き生きとしていて好き。

リトル・コゼット: Hannah Chick

巧いけど、怖い。でもそれこそ本物(?)のリトル・コゼットはこんな姿をしていたんだろう、と思わせられる、ギョロギョロした印象的な目。諸々のハプニングにも動揺を見せない、幼いながらのプロ魂がすごい。出番でないキャストは後方にずらっと並んで座っているのだが、歌っている間は当に可哀想なリトル・コゼットなのに、出番が終わると一変、ガブローシュの隣で無邪気に笑い合いながらテナルディエ夫妻の歌を聴いていたりして微笑ましい。

アンサンブル等

一言感想・順不同。( )内の舞台でのメインキャストとしての役は適当に調べただけなので不完全。

グランテール : Anthony Crivello(ジャベール)

DVDのキャスト一覧に、この人のみ載っていた。え、海外ではグランテールはメインキャスト? オヤジ風味の巻き舌がすごいが、一転して "Drink With Me" では切ない美声を披露し、良い感じ。

ミリエル司教 : Paul F. Monaghan

顔が絵に描いたようで面白い。歌は素晴らしい。

工場長 : Michael McCarthy(ジャベール)

"Right my girl..."っていう低音の囁きがセクシー。歌い方は横暴親方だが、声にそこはかとない気品があって、妙に威厳ある美声工場長。

ファクトリーガール: Jackie Marks(ファンティーヌ)

視線がセクシー。かなりの迫力。

バマタボワ : Gareth Snook

ふつうに素敵。イメージどおり。

マドレーヌ : Jacinta Whyte(エポニーヌ)

顔が、超可愛い。女性陣では一番美形! 歌は普通に巧い。

コンブフェール : David Bardsley(アンジョルラス)

ヴィジュアルも含めて、まさにコンブフェール! とても素晴らしい。冷静に美声を響かせるが、燃えていることは燃えている。

フイイ : Matthew Cammelle(マリウス、後にアンジョルラス)

歌、風貌共に瑞々しいノーブル系。超美形。どうしても私にはマリウスに見える。

クールフェラック : Jérôme Pradon(マリウス、後にジャベール)

熱い。ハスキーでちょっとロック系。クールフェラックらしいかどうかは不明だが、素晴らしい。出番の少なさを実感。マリウスの時と全く歌い方が違うのが面白い。

ジョリ : Darryl Knock(マリウス)

顔がもの凄く不健康チック(賞賛)。まさにジョリ! 顔が暗いけど熱い。微妙に、退廃耽美系の声。

プルヴェール : Peter Polycarpou(テナルディエ)

顔で熱血している。声は正統派。プルヴェールらしいかどうかはともかく。

レーグル : Mike Starling(マリウス、後にバルジャン)

二枚目声。しかしあまりに出番がなく、画面にすらほとんど映らない。

バベ : Tony Timberlake(テナルディエ)

妙に美形なバベ。

指揮者: David Charles Abell

とても素晴らしいが、私には指揮が素晴らしいのかオーケストラ編成などが素晴らしいのか、などの判断はつかず。ヴィジュアル的に、熱くてちょっと面白い。どうでもいいが、美形。

曲目ごとの雑感

※キャスト感想と重複する部分があります。

Prologue

オーケストラが豪華で素晴らしい。囚人が密かにグランド・フィナーレに登場する世界のバルジャンだったりして、地味に豪華。バルジャン(Colm Wilkinson)は、何も言うことはなく。好みというよりも彼こそデフォルトという圧倒的な存在感。そしてジャベール(Philip Quast)は、凛然とした歌い方が最高。

On Parole

バルジャンは、結構控えめ。全体的にそうかも。

The Bishop

司教様(Paul F. Monaghan)の顔がおもしろい。歌は最高。バルジャンの took my fly〜!の音がいまいち好きじゃない。中途半端に綺麗な叫びで……。

Valjean's Soliloquy

冒頭から冷静なバルジャン。(笑)中盤が一番好き。そして、 "freedom" の響きがほんとにしみ入る感じ。

At The End Of The Day

群衆劇たるレミゼの、隠れた(?)名曲。それがこれだけの大合唱ともなると実に壮大。さて、ファクトリーガール(Jackie Marks)が可愛すぎるー! そして工場長(Michael McCarthy)、あまりキャラ的に好きじゃない工場長を格好良いと思ったのは初めてだ。どっちかというと本来重くて柔らかい美声だけど、ドスを効かせてるのと "Right my girl" の低音の囁きが格好良すぎ。妙にクールで冷静な市長、却って味を出している。

I Dreamed A Dream

わりと冷静系。このファンティーヌ(Ruthie Henshall)はとても強くて格好良い。しかし衣装がなんだか微妙。

Lovely Ladies

この曲もとても好き。娼婦の人々が皆可愛すぎる。そしてやっぱり強いファンティーヌ、私のファンティーヌ観とはかなり違うけど、これはこれで素敵。 "Rat" のドスの効き具合、この人最上級! ……ってそれは何か違う気もするけど、惚れるのでよし。バマタボワ氏(Gareth Snook)、ものすごくイメージどおり。コンサートゆえかもしれないが、どちらかというと声が演技する感じで、目で見るとちょっと冷静すぎかもしれないが。

Fantine's Arrest

とにかくここのジャベール大好き! 警棒の持ち方といい、敬虔にして威圧的な宣言といい、ときめき。ファンティーヌはやけに正気だけど、情熱的で良い感じ。市長様はやっぱり冷静。何が不服かといって、映像、but monsieur mayor! のとこジャベールも映してー!

The Runaway Cart

時々舞台映像のようなものが入ってるのは、良いのか悪いのか? このジャベールは、微かに疑ってる気がする。しかしそれを押し込めている感じが素敵。顔も声も表情の変化がとっても細かいなあ……。市長様は、結構有無を言わせぬ感があって良い感じ。

Who Am I? / The Trial

高音が綺麗。バルジャン個人には比較的思い入れがなくて感想がそっけないけど、ほんとに素晴らしい。

Fantine's Death

非常にちゃんと「母」なファンティーヌ、最後まで死にそうじゃないファンティーヌ。バルジャンはすごく優しい。ただ、ファンティーヌがとても通る歌い方なのに対してバルジャンは囁きかけるような声質なので、少しバランスは良くない気もする。

The Confrontation

とにかく素晴らしすぎる対決! ジャベール、声の表情は変幻自在なのに一貫して正確無比のリズムがあるところが大好き。珍しく燃えてるバルジャン、 "My race is not yet run〜!" のシャウトが超格好良い! 唯一惜しいのは、ふたりの "Javert!" が、ずれている……というほどではないけど、完璧に揃ってるとも言えないところだろうか。コンサートだから仕方がないけれど、二人離れて突っ立ってるのがちょっと寂しいかも。

Castle On A Cloud

リトル・コゼット(Hannah Chick)は、まず風貌がものすごくハマりすぎ。むしろ怖いよ。しかし、 Crying at all is not allowed〜 と歌ってると突然パーン! とすごい音がして一瞬ビクっとするコゼット、フィナーレ用の風船が割れた音だそうで、可哀想に……。でも声はびくともしていない。そしてコゼットが歌い終え、マダム・テナルディエ(Jenny Galloway)が出てきた瞬間笑う観客。コンサートだからなのか、海外ではそういうものなのか? その後も気にせずマダムが何か言うたびに大声で笑う観客。歌は素晴らしいんだけど、諸々の外部的要因のためなんだか大変な一曲になっている。

Master Of The House

テナルディエ(Alun Armstrong)、歌もすごいが顔と目つきがさらにすごい! 私の好みから言うとテナルディエにしては少し毒が足りないが、その分コメディ・リリーフ感ばっちりで、背後に待機しているキャストが一緒に楽しんでいるのが時々映るのも密かに面白い。笑っているアンジョとグラン、やけにノッてる大人コゼット、口笛を吹くリトル・コゼット等々……そしてやっぱりマダムが出てきた瞬間、大爆笑の観客。

The Bargain / Waltz Of Treachery

テナルディエ夫妻はとても歌のバランスが良くて、あの絶妙な不協和音ハーモニーも綺麗。しかし悪辣さは足りないな。

Look Down

とにかく合唱の迫力はどこも素晴らしい。そして、ガブローシュ(Adam Searles)が巧い! 熱演しすぎて、たまにマイクから離れすぎてハラハラする。娼婦のマドレーヌ(Jacinta Whyte)が超可愛い。アンジョルラス(Michael Maguire)は格好いいんだけど、ちょっとマリウス(Michael Ball)の存在感には敗けている。声自体は綺麗なのだが、微妙に高音が通らない。しかしとにもかくにも熱血、表情が特に熱血。

Stars

この辺からジャベールは外套着用なので、体型もカバーできて安心。シルクハットや警棒の使い方がこれまた格好良い。美しい曲だからか、華麗に歌い上げる人が多いけれど、美しい曲だということを第一に意識させないほど、まず最初に「意味」が前面に押し出されたスターズ。ジャベールの生き方と信念が凝縮された、とても静かでとても激しい曲。もちろん美しい歌い方のところもありながら、その中にもやっぱりあの凛々しいリズムが刻まれてるのが、凄いなあ。個人的にコンプリート盤のより好き、珠玉のスターズ! 歌い終えた後の強い視線も素敵。私は、フィリップは綺麗な人だなあーとも思う。

ABC Cafe / Red And Black

やはり熱血。みんな熱血だが、特にアンジョルラスが熱い、熱すぎて最初は吹き出すが、次第にハマってくる。相変わらず素晴らしいマリウス、 One minute there and she was gone! が超好き。クラシカルで美しい歌い方にも拘わらず、美しいだけに留まらない非常にディープな表現がとても良い。夢見る表情、グランテール(Anthony Crivello)にからかわれてもホワホワと笑ってるところとか最高。とにかく良い意味でこの二人が濃い一曲。アンジョルラスは前半は遺憾なく美声を発揮しているが、終盤は暴走気味。ラマルクの死を報されて His death is the sign we await! と言った後のポーズとか、もはや理解不能な熱さ……どこか別の世界が見えているのであろう表情の危なさ。クールフェラック(Jérôme Pradon)も、これでもかと熱い。マリウスにしか見えないフイイ(Matthew Cammelle)と、人の良さそうなプルヴェール(Peter Polycarpou)は私のイメージだと逆かも。ある意味グランテールが一番まともな(落ち着いた)人に見えるという、謎のABC戦隊、もといABCの友。しかし後にガラコンのいかつい映像を見て改めてしみじみと思ったのだが、このコンサートのABCの友は、平均的にとても若々しく美形(顔・声共に)である。

Do You Hear The People Sing?

雰囲気は前曲のイメージをそのままに、熱い。熱ければ熱いほど哀しくもあるこの一曲だが、素晴らしい。アンジョルラスは低音の方が響いて綺麗。そして、コンブフェール(David Bardsley)が、歌も容貌もすごく素敵! 流石にコンブフェールは比較的には冷静。フイイが美人すぎて面食いならずともなんとなく注目してしまうが、この中ではおとなしめの若々しいノーブル声。でも表情が熱血。

Rue Plummet / In My Life

コゼット(Judy Kuhn)、声に気品はあるんだけど乙女っぽさには少々欠ける。マリウスはここでも卓越した音楽性でその素晴らしさには絶句しつつ "Heaven is near" を「にぁぁああああ!!」と歌い上げるところ、このコンサート版が最高にスキだが、つい吹き出す。エポニーヌ(Lea Salonga)も決して可愛らしい歌い方でなくて好き。

A Heart Full Of Love

段々マリウスに関しては「素晴らしい」以外の言葉が出てこなくなってきた。コゼットは元々非常にクラシカルな歌だけに、つっこみどころがない……普通に綺麗。エポニーヌの独特の発音も好き。三重唱がほんとに美しい。

The Attack On Rue Plummet

やはりちょっとテナルディエは綺麗すぎるような気がする。エポニーヌが凄く格好良い。切ないだけではない、強いエポニーヌ。バルジャンはかなりヒステリックに登場して暴走気味、落ち着け、とつっこみたくなるようなコゼットへの尋常ならぬ愛が感じられて凄く素敵。

One Day More!

素晴らしいとしか言いようがない。そしてこれだけの歌声が重なっていても、それぞれ聴き取れるのが凄い。コンサート仕様で主要人物が並ぶと壮観。ほとんどは一本のマイクの前に二人ずつ立っているのに、エポニーヌが一人なのも配置の妙。バルジャンとジャベールが隣で一緒に歌っているのもコンサートならではで素敵。アンジョルラスの登場の声がやや通ってないのは気になる。

On My Own

エポニーヌ、歩き方や仕草が超可愛い! 中盤、微笑んでいるのに目が寂しそうなのがとても印象的。そして後半は哀しくも強くて、そして最後、二度目の "I love him" がとても好き。

Back At The Barricade

前半、映像が遠くて詳細が見えないのが残念。アーミーオフィサーはちょっと声が裏返り。ABCの友は相変わらず熱い。

Javert's Arrival

こんな威厳ある格好良い人が紛れていたら怪しまれちゃうよ!

Little People

登場時、良い意味で暴走していたガブローシュはやや落ち着いた感じで。焦りながらも凛々しい面持ちのジャベールが素敵。アンジョルラスもここではちょっと熱血度を抑え気味、中低音はほんとに華麗で素晴らしい。

A Little Fall Of Rain

エポニーヌはわりと「歌っている」感じで、もっと息も絶え絶えに歌って欲しいかな。表情はとても良くて、コンサートながらマリウスの腕の中で動かなくなるところが素敵。

Night Of Anguish

歌よりも、睨み(見つめ?)合うアンジョルラスとマリウスが、ただでさえ濃いお二方なので、たいへん暑苦し……熱い。

First Attack

やけに「スパイ」を強調するバルジャン。ジャベールとの視線のやりとりが素敵。そして "your life is safe in my hands" と言われて徐々に変化していくジャベールの表情と声が見事! そしてやはりコルム・バルジャンの年輪を感じさせる "free" の音は素敵。

Drink With Me

いきなり、美人フイイのアップ。そして、味わい深いグランテール。この人も声が変幻自在。アンジョルラスと見つめ合う表情も素敵だが、アンジョルラスはといえばたとえ無言でも熱血……。

Bring Him Home

素直に全身全霊で聴き入りましょう。

The Final Battle

いきなり終盤。アーミーオフィサー、今度は落ち着いている模様。アンジョルラスの叫びが哀しい。

The Sewers / Dog Eats Dog

下水道のオープニング音楽好き。やはりちょっと毒気の薄めなテナルディエ。音楽的には素晴らしいけれど、もうちょっと裏面が見たい雰囲気。

Javert's Suicide

冒頭からすごい緊迫感。 "Who is this man?" から既に世界が確立されていて息を呑む。 "I will be waiting, 24601" と声をかけながらも、心境が揺らいでいく。そして映像面も本当に凄い。表情ばかりでなく全身。片時も目の離せない一曲、基本的に突っ立って歌うコンサート形式でも、ここまで演技というものは出来るのかと感動。因みに舞台ではないから髪が解れる演出はできないのだが、なんと自分で解いている。それがまた全く浮いていない。 "Shall his crimes be reproeved?" で見せる一見微笑みのような深い表情、遠くからの立ち姿も格好良い。そしてフィリップはマイクスタンドまで演出に使ってしまう。もちろん、特に何かをしているというわけではないが、しかし本来はただそこにある機材が、ジャベールの心境を伝える手や全身の動きに繋がる小道具と化しているように思えるのである。書ききれないけれど、とにかく素晴らしい。この人のジャベールを実際の舞台で観てみたかった。

Turning

存在は地味だけど、非常に重要な曲でもある。

Empty Chairs At Empty Tables

実はこの曲自体にはそれほど思い入れがない(内容としては好きなんだけど)。マリウスというキャラクターもマイケルも、フワフワしているときの方が素敵なので。でも、やっぱり "oh my friens, my friends" は重い。

Every Day / A Heart Full Of Love

マリウスの立ち直り具合が自然。 "A Heart Full Of Love" は再び出てきたわけだが、いずれも決して二人の甘い愛の曲ではない。傍らに、かつてはエポニーヌ、そして今はバルジャンという、愛しあう二人から外れて影となる存在がある。だがその思いが音楽の上では三重唱になってゆく、その構成が好き。

The Wedding Chorale / Beggars At Thte Feast

このあたりのナンバーは音楽としては嫌いではないけれど、シーン自体の好みとしてはレミゼ全曲中一番どうでもいいので……勿論、内容においては必要なんだけど……。

Epilogue (Finale)

バルジャン、ファンティーヌ、エポニーヌ。三人とも「愛される」より「愛する」ことに生きた人たち。愛されなかったというわけではないけれど、捧げた愛の大きさに比べれば与えられた愛は剰りに少なかったはず。だがその三人によって厳かに優しく歌われる "To love another person is to see tha fece of god" 、これはこの作品の持つ大きなテーマのひとつなのだろう。そしてラストの合唱は、やっぱり素直に聴き入ってしまう。

Grand Finale

世界十七ヶ国からそれぞれの代表バルジャンが登場し、民衆の歌をそれぞれの言葉で歌い繋ぐグランド・フィナーレ。いろいろな言語が少しずつ聴けてとても楽しい。日本代表バルジャン(鹿賀丈史)のパートは「新たに熱い生命が始まる 明日が来たときそうさ明日が」。これは結構長く歌っているほうで、なかなか良い位置である。皆すばらしいが、ヴィジュアルはフランス代表バルジャン(Robert Marien、パリ盤の人)がダンディで好き。

最後は出演者全員で "One Day More" ラストの大合唱! 派手に花火も上がり、会場はトリコロールカラーの風船で埋め尽くされる。リア・サロンガは素でも仕草が可愛いなあー。素に戻ってコルムと熱い抱擁を交わすフィリップの乱れ髪も素敵。