ミュージカル Martin Guerre あらすじ

MARTIN GUERRE London Cast Recording

「マルタン・ゲール」のオリジナル・ロンドン・キャスト盤CDに基づく推測あらすじ。

英語歌詞とブックレットの説明を参考にしただけなので、完全に理解はしていないが、こんな話らしい? ということで。

一幕

 十六世紀フランス。それまで確立されていたカトリック教会に対し、プロテスタントの勢力が強まっていた。しかし幾つかの村や町では、プロテスタントたちは未だ、水面下で密やかに礼拝式(?)を行っている現状があった。そうした村のひとつアルティガ(Artigat)。【#1 Prologue】

 裕福な地主のピエール・ゲール(Pierre Guerre)は、甥のマルタン・ゲール(Martin Guerre)を、彼の友人ド・ロル夫人(Madame De Rols)の娘のベルトランド・ド・ロル(Bertrande de Rols)と結婚させることにした。プロテスタントの脅威から土地を守るためには跡継ぎが必要であり、これはそのための政略結婚だった。マルタンは、この結婚に乗り気でない。村の青年ギヨーム(Guillaume)にとってもこの結婚は面白くなかった。ギヨームはベルトランドを真実愛しているのに、土地を持っているという理由だけで、彼女は愛されもしないマルタンの妻になってしまうのだ。渋々ながらマルタンは結婚を承諾し、二人の結婚式が行われる。【#2 Working onthe Land】

 こうして二人は結婚したが、結局、跡継ぎになる子供ができない。マルタンは子供を作ろうともしないようだ。ギヨーム達がそれを揶揄している。村人たちは何かマルタンについて言っているらしくて(?)ベルトランドはそれ本当なのかとか問いつめるが、マルタンは自分たちは若すぎる、とか言い訳している。ギヨームは何だかベルトランドに迫っているようだが、死んだ方がマシだと拒否されている。【#3 Where's the Child】 村人たちやベルトランドの非難に耐えられなくなったマルタンは、村を飛び出す。【#4 Martin Guerre】

 七年後、フランドルの戦場。マルタンは戦友のアルノー・デュ・ティル(Arnaud duThil、この人が主役らしい)と共にカトリックの兵士としてプロテスタントの軍と戦っている。【#5 Here Comes the Morning】この戦で、アルノーを庇って刺されたマルタンは戦死してしまう(実は死んでいないのだが、死んだと思われる)。

 一方アルティガ村では、残されたベルトランドが、マルタンのことは諦めて再婚するようにと未だカトリックの跡継ぎ(?)を必要とする村人たちに圧力をかけられて落ち込んでいた。これを見た三人の老婦人セレスティーヌ、エルネスティーヌ、オルタンス(Celestine, Ernestine, Hortense)はそれぞれ孤独な状況を思う。【#6 Sleeping on Our Own】

 村人たちは司祭のドミニク神父(Father Dominic)に、ベルトランドが義務を果たさないことを訴える。マルタンの帰還を諦めていた(?)ピエールは、長男にゲールという洗礼名を与えるなら、ベルトランドと結婚してもいいとギヨームに約束する。しかしベルトランドは孤独で、失意の底にあった。【#7 When Will Someone Hear】マルタンが去ったからではなく、元々マルタンの心は彼女になくて、孤独だったという感じらしい。彼女はプロテスタントの集団に出会って傾倒するようになり、密かにプロテスタントに改宗する。

 ある日、村の白痴ブノワ(Benoit)がいつも連れ歩いているルイゾン(Louison)と名付けているカカシと共に歌っていたところ、見知らぬ若者がやってきた。それはマルタンの死を伝えにやってきたアルノーだった。アルノーはマルタンの妻(ベルトランド)の居場所を尋ねようとするが、ブノワが報せに行くと、なぜか(?)村人たちはマルタンが帰ってきたのに違いないと思い込み、これで跡継ぎの問題が解決するということで、喜んでしまう。【#8 Louison - Welcome Home】

 ブノワだけが、アルノーについて真実を知っていた。ベルトランドは戻ってきた若者がマルタンでないことに気付きながらも、アルノーに惹かれていく。アルノーは去らなければいけないと考えていたが、次第にベルトランドと愛し合うようになり、マルタンとして村に留まることに同意する。【#9 Tell Me to Go】

 その頃アルティガのプロテスタントたちは水面下で力を蓄えており、ベルトランドは彼らの秘密の儀式に参加していた。やがてベルトランドはアルノーにそのことを告白し、彼を儀式に連れて行き、アルノーもプロテスタントになる。【#10 Bethlehem】

 ベルトランドに拒絶され続けた挙げ句、マルタン(だと思われているアルノー)の帰還によって不必要になったギヨームは、ベルトランドたちをこっそり探って秘密を知ってしまい、これは「マルタン」を片づけるチャンスだと悟る。また、ギヨームはベルトランドが身ごもっている子供がプロテスタントになり、アルティガはプロテスタントの手に落ちるということを知っていた。カトリックとしての正義感からも、ギヨームはアルティガのプロテスタントを一掃するため群衆を率いて立ち上がる。まず殺すべきは「マルタン」だった。

 ギヨームはマルタンを殺そうとしたが、ブノワは彼の命を救うために、彼がマルタン・ゲールではないという事実を明かしてしまう。今やピエールとド・ロル婦人はギヨームたちの味方についていた。逮捕されたアルノーとベルトランドは、互いの愛を確認し合う。【#11 All I Know】

二幕

 アルノーの裁判が行われる。次々と証人が呼ばれて彼はマルタンではないと証言するが、アルノーはうまく反論する。【#13 The Coutroom】ブノワも証人に呼ばれるが、アルノーの名前を言うことが出来ない。【#14 Me】アルノーは自分はマルタン・ゲールであり、ベルトランドは自分の妻であると誓う。ベルトランドは彼の子供を宿していた。アルノーは自分はプロテスタントになったがそのことに誇りを持っていると宣言する。カトリック教徒たちはそれを否定し、彼がマルタンの名前と妻を盗むことによって、プロテスタントに土地を与える策略を企てたのだと訴える。プロテスタントとカトリックは激しく言い争うが、裁判官は彼らを制し、ベルトランドに彼はマルタン・ゲールなのかと尋問する。【#15 Martin Guerre (Reprise)】ベルトランドは、断言はせず(?)遠回しに彼はマルタンであると弁護するように夫への愛を語る。【#16 Someone】

 ついに最後の証人がやってきた。なんとそれは、本物のマルタン・ゲールだった。死んだと思われていたが、実は生きていたのだった。証人たちは彼をマルタンだと証言し、裁判官はベルトランドにどちらが本物なのかと迫る。ついにアルノーは自分はアルノー・デュ・ティルだと告白し、戦場でマルタンと出会ったいきさつを語り、ベルトランドを庇って、自分はマルタンの名前と土地と妻を盗んだが、ベルトランドは真実を知らなかったのだと説明する。しかしベルトランドは、自分は最初から彼がマルタンでないことを知っていたが、彼を愛してしまったのだと告白する。裁判官は有罪の判決を下し、アルノーは七年間の懲役となる。ベルトランドにも罪があると認められるが、服役の代わりに(?)本物のマルタンの妻にされることになる。【#18 The Last Witness】

 ギヨームはカトリックを扇動し、神の名においてプロテスタントを虐殺しはじめる。【#19 I Will Make You Proud】暴動が起こり、ブノワのカカシのルイゾンは燃やされてしまう。【#20 The Madness】

 アルノーに面会に行った(?)ベルトランドは、マルタンと出会ってしまうが、彼らの愛の深さを悟ったマルタンは、友情から(?)彼らを釈放し、逃がそうと試みる。しかし逃亡しようとした二人は暴徒たちに見つかってしまう。マルタンを憎悪していたギヨームは、ナイフで刺そうとするが、アルノーがマルタンを庇って刺され、ベルトランドの腕の中で息絶えてしまう。【#21 The Reckoning】

(このあたりの展開が謎……。この辺りは歌がない or CDには入っていない。CDの説明にも書いていない。ギヨームは、マルタンに殺されてしまったらしい?)

 生き残ったマルタンは、ベルトランドとその子の将来のために、彼女たちが村を出て新しい生活を送るべきだと考えた。ベルトランドは旅立つ。村人たちはマルタンをリーダーとして、再び土地を耕す日々に戻る。(……? ラストも結構、謎)【#22 The Land of the Fathers】

キャスト

ARNAUD DU THIL: Iain Glen
BERTRANDE DE ROLS: Rebecca Lock
GUILLAUME: Jérôme Pradon
MARTIN GUERRE: Matt Rawle
BENOIT: Michael Matus
HORTENSE: Ann Emery
CELESTINE: Sheila Reid
ERNESTINE: Julia Sutton
MADAME DE ROLS: Susan Jane Tanner
PIERRE GUERRE: Martin Turner
FATHER DOMINIC: Marcus Cunningham
JUDGE CORAS: Paul Leonard
ANDRE: Nathan Harmer
CATHERINE: Stephanie Putson